top of page

図書館レファレンス入門――第一回:レファレンスとは何か?

杉本翼

更新日:2 日前

 図書館を活用するうえで、意外と知られていないのが「レファレンス」というサービスです。これは、皆さんが何か調べものをしたいとき、必要な資料の探し方や情報の見つけ方を手伝ってくれる、図書館員による相談対応のことを指します。英語の reference (参照・照会)に由来しており、難しいようでじつはとても身近。たとえば「ある歴史について詳しく知りたい」「こんな事柄の背景を調べたい」というときに、図書館にある膨大な本やデータベースを効率よく活用するための“道案内”のようなものです。


レファレンスでどんなことができるの?

レファレンスは一言で言うと、図書館員が「調べもののプロセス」を一緒に考えてくれるサービスです。「自分の疑問は些細なことだし、こんな質問でもいいのかな?」とためらう方が多いのですが、むしろ大歓迎。内容や分野を問わず、図書館にある本・雑誌・新聞・郷土資料・データベースなどを駆使して答えを探すお手伝いをしてくれます。

 たとえば、

  • 「江戸時代の農具」を見たい・調べたい場合

    • 古文書や浮世絵、昔の農業技術書など、図書館には意外とさまざまな一次資料や解説書が所蔵されていることがあります。

    • レファレンスを使えば「江戸期の農具が描かれている図版はどの本に載っているか」や「農家の記録が書かれた日記がないか」といった、具体的な探し方のアドバイスを受けられます。

  • 「菊池に伝わる“白龍の歴史」に関心がある場合

    • いわゆる郷土史の分野で、神話・伝承・地域のイベントなどからアプローチすると、図書館が収集している“郷土資料コーナー”や昔の新聞記事が大きな手がかりとなります。

    • レファレンスカウンターで「どの棚にこんな資料がありそうか」「過去の広報誌や市史のどこに記述があるか」を教えてもらえば、調査が一気にスムーズに進むでしょう。

このように、レファレンスを活用すると、「どんな資料や検索ツールを使えばいいか分からない…」という壁を乗り越えられます。すでにご自身がある程度情報を持っている場合でも、館内の蔵書を横断的に案内してくれるので、調べものの幅が一気に広がるのが魅力です。


レファレンスの利用方法

基本的には、図書館のカウンターで「〇〇を調べたいのですが…」と声をかけるだけでOK。事前に「何を、どのように調べたいのか」をまとめていくと、司書さんも的確な紹介がしやすいです。

たとえば、「江戸時代の農具について、写真や図が載っている本が知りたい」「菊池の“白龍伝説”にまつわるイベント資料や過去の新聞記事はあるか」といった質問を伝えれば、担当の司書が手がかりになりそうな資料を紹介してくれます。自分では思いつかなかった検索キーワードや関連書籍を教えてもらうことで、「こんな資料があったんだ!」という新たな発見があるはずです。

ただし、どの程度レファレンスを受けられるかは図書館によって異なります。お近くの図書館で「こんなことはできますか?」と尋ねてみると良いでしょう。


レファレンスで広がる図書館の魅力

図書館の蔵書は、ベストセラー小説から専門書、さらには地元に関する郷土資料まで多種多様。しかしその膨大さゆえに、「何から探せばいいのかわからない」という人も多いと思います。レファレンスを通じて図書館員とコミュニケーションをとることで、知らず知らずのうちに調べもののノウハウが身につき、図書館の世界がぐっと身近に感じられるようになります。

また、レファレンスの最大の利点は、「自分ひとりでは見つけられなかった資料」に出会える可能性が高まること。ひとつの疑問から関連する情報をたどっていくと、思いもよらない角度から新しい発見があるかもしれません。たとえば江戸時代の農具を探していたはずが、当時の生活習慣や祭りの記録に興味が広がる…なんてことも。


次回予告

今回ご紹介したように、「レファレンス」は図書館を使いこなすうえで欠かせないサービスと言えます。次の記事では、実際にレファレンスカウンターを体験したエピソードをご紹介しながら、「どんな手順で質問し、どんな資料を紹介されたか」などを具体的にレポートしていく予定です。ぜひ楽しみにしていてください。

図書館はあなたの「知りたい」に寄り添い、案内してくれる頼もしい味方です。図書館には、まだまだ多くの可能性が眠っています。調べものをしたい、あるいは昔のことをもっと掘り下げたいときには、ぜひレファレンスカウンターを活用してみてください。

執筆者:杉本翼

 
 
 

最新記事

すべて表示

[2025年04月号]菊池の春

菊池図書館のある菊池市は自然がとても豊かです。 ご来館の際は、菊池市の自然もご堪能ください。 菊池渓谷 菊池川鴨の遊弋

댓글


bottom of page