人物紹介 草月流 宮川葵乃春(きのはる)氏
菊池市中央図書館玄関ロビーにていつもきれいなお花をいけておられる宮川葵乃春氏。図書館を訪れる人の心を癒す「いけばな」にまつわるお話をうかがいました。 (聞き手 井藤和俊)
草月流の「いけばな」はどんな「いけばな」を目指しているのですか?
昭和2年(1927年)、初代家元・勅使河原蒼風が、形式主義の「いけばな」に疑問を持ち、個性を尊重した自由な表現を求めて創流したのが草月流です。草月流は「型」にとらわれず、自由に、個性豊かにいけることを目指しています。
「いけばな」の魅力はどんなところにあるのでしょうか?
日本は四季折々の変化に富んだ国です。そして、古くから自然との共生を大切にした「いけばな」が、人々の暮らしを彩る伝統文化として大事にされてきました。
「いけばな」は「出会いの世界」、自分で作り出す自然のアートです。植物は、一つひとつが違う表情を持っています。出会った材料と向き合い、花と対話することに花をいける面白さがあります。
お花をいけるようになったきっかけ、また草月流との出会いは?
大学卒業後、何か趣味を持ちたいと思っていたところ、熊本市現代美術館の「華人展」で、いろいろな流派の「いけばな」を見る機会がありました。そのなかで、自分の目をひいたのが「草月流」だったのです。そして、平成21年(2009年)に、いけばな草月流に入門しました。
図書館玄関で「いけばな」を飾られているのは、何がきっかけでしょうか?
平成30年(2018年)の若手師範と家元との座談会から、もっと多くの方に「いけばな」を知っていただくために、今自分に何ができるか、10年後20年後にどんな自分になりたいか、深く考えるようになりました。それから中央公民館長ならびに図書館長とも相談の上、同年冬からキクロス1階ロビーの図書館玄関に「いけばな」の展示を始めました
現在、1級師範として、どのような活動をされていますか?
令和元年(2019年)から、キクロスにて月2回(土曜午前)、「草月流宮川葵乃春いけばな教室」を開催しています。いつでも入会でき、生徒さんそれぞれに合わせた指導をしています。また、令和2年(2020年)から高校華道部の講師をしています。
あらためて「いけばな」について、皆さんに伝えたいことは?
花はささやかで儚いものですが、いつしか心の拠り所となり、淋しい時やつらい時でも、花をいけることで穏やかな気持ちになるでしょう。
自然と人間の触れ合いから、いけばなは生まれました。植物とふれあう喜びを多くの方に届けて、多くの方の心を豊かにしたいと思っています。
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