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[2021年10月号] 編集後記

編集後記

オリンピック・パラリンピックが終わって、新型コロナウイルスの感染が激減し始めました。ワクチン接種が進んだせいか、それともコロナウイルスの新たな変異への過渡期なのか、専門家の間でも、判断がついていないようです。

10月から、「新型コロナウイルス緊急事態宣言」や「まんえん防止等重点措置」の全面解除がなされ、飲食、旅行、観客制限などの様々な規制が緩和されます。年末に向けて、飲食業、旅行観光業、エンタテイメント業界などが賑わいを取り戻せば、世の中も少しは明るくなることでしょう。

しかし、今回のコロナ禍が明らかにした様々な問題点は、新たな政権が取り組む課題になりますが、それが単に、ロックダウンなど国民統制強化の法的整備に向けられることは、避けていただきたい。

今回のコロナ感染者の大都市と地方の感染者数の違いが何を意味しているか、様々な角度から検討してほしいものです。学校教育や各種競技会、図書館等公的施設は、今回の一律規制が妥当だったのか、飲食店や興行関係も地域一律規制が妥当だったのか、議論してほしいと思います。

スマホのSNSなど、誹謗中傷が飛び交うネット情報に対する規制が、問題になっています。スマホは、自動車同様、市民生活に不可欠な道具となりました。それがもたらす利便性と危険性は、自動車と同じです。交通ルール同様、市民モラルの普遍化が必要です。

しかし、それは利用者だけが負うのではなく、ビジネスとして利益をむさぼるプロバイザーや全世界にネットを張り巡らして、すべての情報を独占する巨大IT産業、中国のように国民の情報を国家が管理するシステムにも、情報公開と市民的権利擁護の義務を負わせることが必要です。

ヒットラー・ナチスがドイツ国民あげてユダヤ人排除と大量虐殺を可能にしたのは何故か?ドイツ国民はなぜ受け入れたのか?アメリカがトランプ大統領を生み、なおも熱狂的支持者が、アメリカ世論を二分している現状は、なぜ生まれたのか?

日本に住む私たちにも、無縁のことではないと思います。

 図書館には、そのような社会と国家の闇、多くの市民の犠牲に関する書物が、納められています。名著もたくさんあります。為政者の暴政を許したのは国民であり、その犠牲者も国民であることは、歴史が明白に物語っています。


 皆さん 「菊池事件」ってご存じでしょうか?ハンセン病患者とされた男性が殺人罪に問われ、無実を訴えながら、死刑執行された事件です。それは、菊池市の事件なので、今は「菊池事件」と呼ばれています。その裁判が、合志市の「恵楓園」で事実上非公開で行われたため、今年最高裁で、その裁判は、裁判の公開性を定めた憲法に違反しているとの判決が出されました。弁護団は、憲法に反して行われた裁判のやり直しを求める「再審請求」を起こしています。

 菊池での出来事なのに、あまり知られていません。この「藤本事件」について、「友の会」でも、学習する機会を設けたいと思います。   

                         (文責)井藤和俊               










 

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