菊池川流域地名研究会 中原 英
私が菊池川 流域地名研究会に関わる中で一番興味のある本は、平野雅廣氏の「倭国王のふるさと 火の国山門」です。先日の市民劇で紀元前473年呉王夫差の子である「公子忌」が舟で神来(おとど)に来て、米作りを始めたことを演じましたが、これは、この本から教えられた部分が大きいのです。この本は菊池市立図書館にありますが、貸し出しは禁止されていますので、キクロスの図書館で読むしかありません。皆さん、一度この本を手にしてみてください
この本で重要なところは、次のようなところです。
①松野連「倭王」系図(頁20~22)
これは、国会図書館が所蔵しているもので、私もこれを見に東京まで行きました。確かに「紀元前473年に来朝して火の国菊池郡山門に住す」と書いてありました。
②神来(おとど)の伝承(頁28~32)
これは、神来地区の字図で「天神の下、仮屋、大代、待塚、神雷屋敷、待居」など十一 の小字が載っています。仮屋は呉王の屋敷を建てるまでの仮屋でしょう。呉の王様が舟で神来に来て、神来や山崎に住み着いたのでしょう。
③九州年号(頁109~111)
現在は九州年号が、日本中のあちこちで発見されていますが、平野さんは20数年前に九州年号の存在意義を述べています。平野雅弘さんの素晴らしい先見の銘を感じます。
以上、この本で私が感動して読んだところを箇条書きにしてみました。
「倭国王のふるさと 火の国山門」平野雅廣著
熊本日日新聞情報文化センター 1996年発行
(注)①著者 平野氏の名「まさひろ」の「ひろ」の漢字は、日偏に廣です。
②著者 平野氏は、「倭国王」は「くまそ」と、「山門」は「やまと」と、振り仮名を付けています。
③文中の地名「神来」は「おとど」と読みます。
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